民意と政治(長いです)

2008.05.01

ガソリンがとうとう暫定税率の復活でまた値上げしましたね。
4月末日に駆け込みで給油した人も多かったんではないでしょうか。
浜松市内でも、車の列ができているスタンドがありました。
この件につき、私のブログにも秋山様から非常に示唆に富んだコメントも
いただいていますし、テレビや新聞でも盛んに報道されています。
皆さんのご関心がいかに高いかがわかります。
さて、いただいたコメントにも少し関係することですが、 このガソリンの暫定税率
について、そして道路特定財源について どう考えるか、ということをもう一度
考えてみたいと思います。
民主党議員としてこんなことをあまり書くとまた怒られてしまうのかなぁ。
叱られたら削除せざるを得ないかもしれません。
でも、きちっと私の考えをお伝えすることは大切なことですから、 あえて
書かせていただきます。
 
報道で見る限り、そして私もたくさんの国民の皆さんに聞く限り、
暫定税率は廃止したほうがいい、という声が圧倒的です。
山口2区の補選もある民意を反映した結果だと思います。
「民意は暫定税率を廃止せよといっている」
でも、本当に民意は
「暫定税率のあり方がおかしいから 見直せ」
というものでしょうか?
私には、「とにかく安くしろ」というのがむしろ 大きな声な気がします。
誤解のないように申し上げると、私もガソリンに限らず税金は安い ほうがいいと考えています。
自らの懐具合を考えて、ということではなく、景気がこれだけ悪化して いる現状では、
税金を下げて消費を促す以外に景気対策はない と考えているからです。
(ただ、デフレは困ります)
(そしてそうなると必然的に「福祉国家」をめざすことは難しくなります)
財政危機といって増税するのは実は違っていて、むしろ減税しなく てはいけないと思います。
そして景気をよくし、そのなかで自由な経済活動ができる社会が 望ましいと考えます。
しかし、果たして今回のいわゆる「民意」はどうでしょうか?
そういう意味も含めての暫定税率の廃止なのか。
おそらく国民の皆さんの多くは、自分の懐のことだけではなく、 国の行政のあり方、
道路行政、地方行政のあり方まで考えたうえで 暫定税率は廃止すべきだとおっしゃって
いるのだと思いますが、 それでもどうしても単純化された「安くしろ」という声が大きい
気がしてなりません。
それは国民の皆さんがそう考えるのは当然だし、それでもちろん いいのだと思います。
それがやはり国民として当然の望みであり、そういう意味で それが民意といえます。
しかし、それだけを楯にとって暫定税率の廃止を声高に訴えるのは その背後に、
それではその分減額された歳入をどう確保し、 ただでさえ福祉や教育に使うお金が
十分でない現状を、どう補填 するのか、というビジョンが見えません。
確かに、ガソリン税や後期高齢者医療制度にNOをつきつけた 民意にはしっかりと
答えなくてはなりません。
しかし「民意」というのもあまり振りかざすと危ない気がします。
「民意がこうだからこうするのだ!」
では、政治家失格です。
「(政治家としての)お前の理念やビジョンは何なのだ?」
ということになります。
私は二大政党制の実現が必要だと思いますし、民主党所属議員として その実現に
向けて最大限の努力をするつもりだし、それこそが民主党に所属している一番の理由です。
しかし、もし、二大政党制というものが、「民意」で多数決したことが 世の中のすべて
(国のあり方やビジョンなども含めて)を決めてしまう、 1億総二者択一のことであるなら、
それは国を滅ぼすと思います。
たとえば、外交問題なども、政党によって二者択一になってしまっては、 本当に怖いです。
そもそも、そういう世界であればわれわれ政治家は存在意義がありません。
世論調査で「民意」を問い、それを役人が実行すればいいわけですから。
なぜ、われわれ政治家が存在するのか。
国の行き先を大きな目で捉え、それを国民の皆さんに訴えていく、
いわばそういう意味でのプロであるべきなのです。
私は暫定税率は将来的に早い段階で廃止し、道路特定財源も一般財源
化すべきだと考えています。
なぜなら、地域によって事情も違うわけですし、「この額は道路に使え」と いう
上からの押し付けがある限り、地域の自発的な発展が望めないと 思うからです。
地域がそれぞれの裁量で使える権限とお金を増やし、特徴ある豊かな 地域を作り、
それが切磋琢磨することで、その集合体としての日本が 豊かになり元気になると
思うからです。
いや、民主党が訴えているのもただ単に「ガソリンを安く」とかみなさんに 耳障りの
いいことを言っているわけではないんだと思います。
 
でも、政局が絡んでしまうと、いわゆる「民意」に乗りたくなるんです。
ポピュリズムや大衆政治に陥っては政治は腐敗してしまいます。
 
 
こんなことを考えながら、今日は舞台芸術公園で行われたOCHAフェスティバル
に出席してきました。
 
そういえば、昨日、県の建設部から暫定税率について説明があったわけ ですが、
その中身もひどいものでした。
「一般財源化について県内の市町村の首長にアンケートをとった」
として、その結果を新聞にも載せていたのですが、
・一般財源化に反対(9市町)
・道路予算が今までどおり確保されるのなら一般財源化してもよい (31市町)
・一般財源化に賛成(0市町)
・どちらともいえない(1市町)
「だから、結局地方は一般財源化に賛成じゃないのです」
というように結論付けたがりますが、ちょっと待ってください。
こんな恣意的なアンケートありますか?
この、赤字の部分を、
したほうがいい としてアンケートを行っても、
結果多数の首長がこれを選択したはずです。
回答の選択肢が恣意的で、これじゃ正しく民意を表せない、
今後このような調査を県がやるときには十分気をつけてほしい、
と少しエキサイトしながら注文しておきました。
 
 
大変長くなりました。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。
 
 
 
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