易経

2006.08.22

今、易経を少し勉強している。
易経と聞くと、占いのような響きがあり、実際私も占いの学問かと思っていた。
しかし実際は占いではなく、「時の移り変わり」をみる学問で、非常に体系的で現実的である。
世の中のことをこの「時」から判断し、対処していく方法が記されたのが易経であり、それはリーダーのあり方にも非常に大きな示唆を与えてくれる。
易経の基本的理念は、「万物は移り変わるもので普遍のものはない(変易)。しかしその移り変わりには一定の法則があり(不易)、それらを理解すればさまざまなことに対処できる(易簡)」というもの。
その移り変わり方には64種類あるが、リーダーとしてのあり方はその中のひとつで、龍の成長にたとえられたものがある。
リーダーには龍が水面下に潜るようにして志を養う時期が必要で、その後には水面から顔を出し先達から学ぶ時期、日々努力し自反する時期、雲に乗り躍動する時期、そして世の中に恵みの雨を降らせるために飛び立つ時期がある。
そしてどれだけ興隆を極めても、やがては衰退する時期がある。
その時々の「時」を観ることが重要で、出処進退もこの「時」を観て決していくことが望ましいとしている。
興隆を極め権力を手にしたリーダーは、古今東西引き際を誤ることが多い。
これではせっかくいいことをしても世の中にはマイナスである。
自らの利益にとらわれるとそれを手放したくなくなるのは人間の性質かもしれない。
でも、それにいかに打ち克てるかが重要である。
易経でも論語でも、人間には「正」と「邪」があることを認めている。
まずは自分の中にも「正」と「邪」があることを認め、それに打ち克つように努力していかなければならない。
自分には「邪」がないなどという人間は、なかなか信頼できない。