道を切り開く福士加代子選手の決断は自助努力の誉

2016.02.29

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女子マラソンの福士加代子選手のオリンピック代表内定をめぐって、陸連との軋轢がニュースになっています。先日行われた大阪国際女子マラソン(オリンピック選考レースの一つ)で基準を上回る好成績で優勝。リオオリンピック出場が確実だと誰もが思っていたところ、陸連から内定が出ず、だったらラストチャンスの名古屋ウィメンズマラソンに出る、と言いだし、これについて陸連は「内定は出せないけど、名古屋に出るのはやめてくれ」と求めています。

 

詳しい顛末や福士選手、陸連双方の言い分はこちらにわかりやすくまとまっていました。

■ 3分で分る福士加代子のレース強行出場とリオ五輪マラソン代表選考の問題点

 

問題点のひとつは、上の記事にも書かれている通り、明確でない選考基準であることは間違いありません。現状では以下の様な基準が定められているだけで、この不明確さで過去にも何度も選考でトラブルが起きています。

 

・代表の枠は3名

・まずは世界選手権(昨年8月)で日本人最上位者に内定を出す

・残る2枠は、選考3レース(さいたま国際、大阪国際女子、名古屋ウィメンズ)の中で設定タイム(2時間22分30秒)をクリアした選手の中から優先的に1名、残る1枠は総合的な判断により決定


福士選手の場合は、3つのレースの一つである大阪国際女子で優勝した上に設定タイムをクリア。しかし2枠を3レースの結果で決めるという仕組みから、1レース残した段階で決めることはできないというわけです。

 

どうしていったら良いのか。


まず、一つの方法としてはこのルールを改めること。基準をタイムなどで明確にして、誰もが納得できる数字などで決める仕組みにすることです。

確かにタイムや数字だけで決めてしまうと、たまたま調子が良かったり悪かったりということも考えられ、オリンピックで日本代表としていい結果を残せないかもしれません。しかもこれまでの実績を加味したら、選考レースでは数字は出なかったけど活躍する可能性の高い(と思われる)選手もいるかもしれません。だから総合的に判断したほうがいいんだ、ということになっているわけです。

それでもなお、私はルールを明確にすべきと思うのは、この「総合的な判断」こそが、判断する人のさじ加減をよび、そのさじ加減を持つ人々が絶大な権力を持ち、その権力に意に沿うような行動しかできない人が増えることにつながるからです。誰かが恣意的に物事を決める社会は、私は大反対なのです。ハイエクが「隷属への道」で唱えたことも、この誰かが恣意的に決める平等社会は決して理想のものではないということです。

 

そしてもう一つは、与えられた不明確で不条理な環境の中で、死にものぐるいで選手が代表枠を勝ち取ること。今回のケースで言えば、福士選手があれだけいい成績を出しても内定ももらえないなら、強硬にでも名古屋に出場して、文句なしの成績を収めることしかないのではないかと、福士選手が考えたことを批判することは誰にもできないはずです。特に陸連がやめろということはできないはず。

これだけの結果を出してもダメだというなら無理してでも次も出場して、ヨシと言わせてやる!という姿は、人に頼らず自らの足で立つ自助努力の典型です。

 

福士選手と陸連とのこれまでの関係に言及している記事もありました。私にはその真偽はわかりませんが、仮に福士選手と陸連の関係が悪く、陸連が福士選手への内定について恣意的なさじ加減を加えているとしたら、これは特に最悪です。陸連に覚えが良くなければ実力があってもオリンピックに出られないような隷属の世界は御免です。

 

実はこういうことは政治の世界にも良くあります。言うことを聞かないアイツは許さないとか、誰々とは一緒にやりたくないとか。往々にしてそうしたことを避けるために、政治家はさじ加減を持った権力に屈して意に沿うようにしか行動できないようになる。そうすれば政治はますます小粒になっていきます。

 

自ら道を切り開こうとしている福士選手はかっこいいですね。もちろん、オリンピックに出場していい結果を日本代表として出してもらうことが一番ですから、ぜひ陸連は意地を張らずに良い結論を導き出してもらいたいと思います。

 

それでは、また。

 

源馬謙太郎
源馬謙太郎(げんまけんたろう)プロフィール
維新の党静岡第8選挙区支部長・元静岡県議会議員(2期)。

1972年浜松市生まれ。成蹊大学卒、Centre College卒後、American Univ. 大学院にて国際平和と紛争解決学修士号取得。帰国後、小型武器問題専門家としてカンボジアでプロジェクトを立ち上げ12,000丁の武器を回収。
松下政経塾を経て後静岡県議会議員を2期務めた後衆議院総選挙に立候補。次点で惜敗。比例復活まであと270票でした。引き続き国政目指して政治活動中。

 


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