カンボジア赴任の目的

2005.01.19

さて、仕事の話に戻ると私の赴任の主な目的は、
1.EUがカンボジアで行っている小型武器回収プロジェクトに専門家として一部参加し、日本側が拠出する草の根資金とその業務を管理する。
2.日本はこれまで平和構築の分野で直接的なプロジェクトを実行していなかったためノウハウがなく、これをEUのプロジェクトから学び、将来的には日本独自の小型武器対策プロジェクトを立ち上げる。
の二つであった。
頭では理解して赴任してきているものの、今まで日本には経験のない小型武器回収という平和構築プロジェクトを立ち上げるために、どのくらいの時間がかかるものかすらも分からなかった。だから、最初の専門家契約も半年間だし、せいぜい1年くらいの赴任だろうと考えていた。


EUは日本に先駆けて、2000年からカンボジアにおいて小型武器の回収プロジェクトを実施していた。
このプロジェクトは、Weapons for Developmentプロジェクトと呼ばれ、その名の通り「武器を出してくれれば見返りに開発をあげる」というプロジェクトであり、小型武器の分野では一時一世を風靡した戦略である。私はこの戦略には限界があり、今のカンボジアでは機能しないと考えているが、それはちょっと専門的な話になるのでまた次の機会に説明することにする。
それはさておき、1997年に日本とEUの首脳会談の際「カンボジアでの小型武器対策で協力する」と約束していた我が国は、このEUのプロジェクトのうち、武器供出の「見返り」である開発の部分に資金を提供することとなり、この部分に私が入り、この援助資金の管理とEUからノウハウを吸収することになったのである。