カンボジア観光のススメ(その5)そして小型武器問題

2005.01.31

どちらの展示や写真を見ても、とても人間のする行為とは思えない。
なにがすごいって、俺らの感覚では虐殺とか聞くとせいぜい第2次世界大戦くらいを思い浮かべるけど、これがほんの20〜30年前くらいのことということ。だから今でもこの処刑場や収容所には近づけないというカンボジア人が多いということ。
でも、これは決してカンボジア人が残虐だとか、ポルポト派がおかしいとかいうことじゃなくて、戦争というものが引き起こした悲劇なんだよね。
戦争は人間をここまで破壊してしまうんだ、と痛烈に感じる。
やっぱり戦争はなくさなくちゃならない。
現実的に難しいところだけど、少なくとも戦争で被害にあう人を減らさなきゃならない。
ここに「事実上の大量破壊兵器」と呼ばれる小型武器を回収することの一つの大きな意味がある。
小型武器は、俺ら一般人でも簡単に手に入れられて、簡単に使えて、簡単に修理できるから長持ちする。小型武器は一般人が使えて、だから一般人に被害者が出ることが多い。
武器を持つことは、人間を凶暴にする。
武器が増えたら被害者が増える。
子供でもわかる理屈だと思う。
理性がある人になら武器は持たせていいというのでは、道理が通らない。
カンボジア人だって、タリバンだって、アメリカ人と比べて理性が劣ってるなんてことはない。今カンボジアには、50万丁以上の小型武器があるって言われてるけど、その数の小型武器をアメリカなり日本に持って行ったら、確実に国が崩壊するよ。
だから、小型武器を回収する。
こんな簡単な道理だからこそ、世界がもっとそれに目を向けなきゃいけないと思うんだよね。
なんか、小型武器の話になっちゃったけど、キリングフィールドに行くたびに小型武器回収の意志を固くする。


つまりまとめて言えば、カンボジア観光では、壮大な美の歴史と、血塗られた歴史を見ることができる。
世界最高峰の遺跡群と、俺らが忘れかけてる平和について。
こう書くと安っぽいけどね。
この国への旅行者は、国別に見ると日本人が一番多いんだけど、残念なことにプノンペン市内ではあまり見かけない。
キリングフィールドやトゥールスレンなんかでは欧米人の方が圧倒的に多い(国別じゃないけど)。
丘から夕日を見ながら「カンボジアはいいよなぁ」とかと無責任なこと言ってないで、この国の人がどういう歴史を、しかも最近歩んだかも見てほしいと、切に願いつつ。