いつまでも拡大成長し続けるという幻想

2016.06.01

今さえ良ければいいという風潮


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消費税増税の議論、崩壊が目に見えているのに解決策が見いだせない社会保障制度の議論。特に国会で行われている議論に判然とせず、これをどう表現すべきか考えていましたが、ある本を読んでいてようやくすっと腑に落ちる表現がありました。

それは、今の政治や政治家が未だにこれからの成長するという前提でしか物事を考えていないからなのだ、ということです。

若い世代がお年寄りの世代を支える年金制度、一度始めたらやめられないとわかっていながら増えていく行政サービス、異次元と言われる金融政策でインフレを起こそうとする日銀(と政府)・・・。

それらはすべて、前提はこれからも人口が増え、経済は拡張するという幻の上に立っています。そして我々国民も、どこかで疑問を感じながらもこれまでの前提と成功体験を引きずっています。

私は基本的に、人間というのは欲望を持っており、この欲望を満たそうと努力することが社会の発展につながっていくのだと考えています。もっと早く移動したい、もっと快適に過ごしたい、もっと便利になりたい、そしてもっと早く走ったり高く飛びたい・・・。こういう欲望や欲求が人間と社会を成長させてきました。

ですから市場の原理も信じています。

しかし今、少しだけその価値観が変わりつつあります。モノを所有しそれがステータスであった高度経済成長期には考えられなかった、シェアリングやミニマリストの観念はその典型かもしれません。

いつまでも物を作れば需要が追いついてくるという幻想は捨てて、新たな経済モデルや社会モデルを作っていく必要があります。しかも人口はこれから確実に減っていき、マーケットも小さくなり、消費者も減っていくわけですから。社会制度でいえば、納税者も減っていくことを直視しなくてはいけません。

日本こそが新しいモデルを提示できる国


日本はかつて、欧米諸国が大航海時代に入って膨張を目指した時も、小さな島国で独特の発展を遂げてきました。決して欲望をおさえていたわけでも、成長を拒んでいたわけでもなく、高い文化を育み、豊かな暮らしを、そして平和に暮らしていました。

決して江戸の暮らしに回帰せよというわけではありませんが、このかつての日本の知恵が新たなモデルの参考になるはずです。

人間には欲望があり、それが成長の源であるという真理と、それでも時代はこれから成長拡大の時代ではないという現実を見据えながら、あらたな国のあり方をこれから具体的な政策に落とし込んでいきたいと思います。
もちろんこれは、決して「成長をあきらめて元気をなくす」ということではありません。

源馬謙太郎
源馬謙太郎(げんまけんたろう)プロフィール
維新の党静岡第8選挙区支部長・元静岡県議会議員(2期)。

1972年浜松市生まれ。成蹊大学卒、Centre College卒後、American Univ. 大学院にて国際平和と紛争解決学修士号取得。帰国後、小型武器問題専門家としてカンボジアでプロジェクトを立ち上げ12,000丁の武器を回収。
松下政経塾を経て後静岡県議会議員を2期務めた後衆議院総選挙に立候補。次点で惜敗。比例復活まであと270票でした。引き続き国政目指して政治活動中。

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