全国2900万人の健保加入者のお金が使われる道

2014.10.26

涼しい日が増え朝の街頭演説が大分しやすくなりました。
こんにちは、静岡8区のげんまけんたろうです。

来年度予算の概算要求が出揃い、なんとついに総額100兆円を超える要求が出されました。
これはいくらなんでもすごすぎる。
さらに竹中平蔵教授が指摘していましたが、この後消費税を10%にする際に景気停滞をごまかすために莫大な補正予算を組む可能性を考えると気が遠くなる数字です。

入るを計りて出ずるを制す
が財政の基本のはずですが入りも計らず出ずるも制さない状況です。

特に厚生労働省の予算要求は前年度3%増の31兆円以上。

来年度のみならず、社会保障制度を真剣に考えていかざるを得ない状況です。

国の失敗を民間が肩代わり

社会保障制度のうち健康保険制度について、ちょうど昨日道州制勉強会で議論をしました。

健康保険には、
・自営業者などの国保
・大企業などが独自に運営する健保
・中小企業などの協会けんぽ
・公務員などの共済組合
があります。

かつては国保の加入者は高所得の人が多かったのが、現在は無職の割合が増える上医療費のかかる高齢者が多くなり、国保の財政状況は非常に厳しい。

対策として厚労省が議論を進めているのが国保の負担を減らし、健保の負担を増やすというもの。

具体的には、健保から出ている後期高齢者医療制度への支援金の負担が増え、協会けんぽの負担が減る分と相殺する形でその分の額を国保に回す、というものです。

なんとも複雑怪奇ですね。

後期高齢者医療制度で高齢者の保険料は1割、5割は公費。
残り4割が健保と協会けんぽからの支援金で賄っているという現状は、どのくらいの国民に理解されているでしょうか。

健保組合の収支は3700億円の赤字ですが、健保組合が出している支援金は3兆3千億。
うち、後期高齢者医療制度への支援金は1兆6千億円を超えています。

この仕組み、どう考えてもおかしくないでしょうか?

問題の本質

こんなことがまかり通っている背景には、制度の複雑さがまず挙げられます。
あっちにお金を入れ、こっちからだし、こっちに回す、というように複雑にすればするほど、チェックがしにくくなりますし、なんとなく辻褄があってしまっているかのようになってしまいます。
制度はやはり、可能な限りシンプルにすべきです。

また、そろそろこの後期高齢者医療制度にもメスを入れていかないと、どうしょうもないことは目に見えています。
だって、金融資産の大部分を持っていると言われている高齢者の方の負担を減らし、人数も少なく財力もない若い世代の健保などで賄うというのは、これは制度として持つはずがないんですから。

政治家は高齢者が嫌がる改革は避けてきました。

その世代こそが、選挙に行ってくれる世代だからです。

しかし、そろそろこういう選挙目線の考えを改めないといけません。
社会保障制度なんて今のままで持つはずがないんです。
消費税で賄うなんて、一体何%にするつもりなんでしょうか。

そしてもうひとつ大切な点を付け加えれば、そもそも厚労省が出す案であるということは、国家公務員の共済組合からの支援金がどうなっていて、これからどうするのか、そこがまったく言及されていないわけで、ここにもキチンとメスを入れないといけませんね。